 |
|
|
電力を用いずに常時20℃(目標15℃!)以下の室温を保つ「非電化低温倉庫」のお話し
■熱の基本
はじめにこんなことを考えてみましょう。ここに、熱い塊と冷たい塊があります。ふたつの塊が近づいた時、それらの熱は熱い方から冷たい方へと移動するでしょう。一方は冷まされ、もう一方は温められることになります。

もし、このふたつの塊が同じ大きさであれば、両者の温度はやがて釣り合って中ぐらいの温度に落ち着くでしょう。

それでは、両者の大きさに差がある場合、例えば冷たい塊が巨大な場合はどうなるでしょう?

この場合、冷たい塊の熱容量が充分に大きいので熱は吸い取られる一方で・・・・

となります。
夜、天気が良いと明け方冷え込む放射冷却という気象現象があります。これがまさに上の図の状態です。この場合、この巨大な塊の正体は「宇宙空間」、即ち絶対零度(-273℃)の世界です。
この現象を利用した「非電化冷蔵庫」というなんとも愉快な発明をご紹介しましょう。
■非電化冷蔵庫 ・・・・・ 作/非電化工房 藤村靖之
非電化工房は発明家藤村靖之氏が主催する「電化しすぎたものを少し元に戻してみましょう」という発明工房です。この非電化冷蔵庫はその思想が生んだ数々の傑作のひとつ。全く電気を使わないのに、真夏でも何故かビールは飲み頃です。
北側外観 扉を開けると中には冷えたビールが
●ビールはなぜ冷えたのか? →詳しくは非電化工房へ
そのしくみは次のとおりです。
@まず、冷蔵庫の外周を徹底的に断熱する。
A上部に放熱板を設け、これもペアガラスなどで断熱する。
B内部に水を充填する。
こうするとビールの熱は
@ビンの表面→貯蔵室の空気や棚の金属→水へと伝達される・・・伝導
A水に伝わった熱は対流で上部の放熱板の方へ移動・・・・・・・・・・・対流
B夜間、放熱板より絶対零度の宇宙へ放熱・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・輻射
となり、昼間、直射光さえ遮断すれば、夜が来るたびに徐々に冷却されることになります。
晴天の夜が3日に1日以上あれば、真夏の昼でも庫内を7〜8℃くらいには維持できるのだそうです。なんだか不思議な気がしますが、現実ですから仕方がない。そんな素敵なことができるのだ、と納得してください。
そこで・・・・
■「非電化低温倉庫」への挑戦
非電化工房の非電化冷蔵庫の事例を踏まえ、「非電化低温倉庫」にトライしてみましょう。
考え方は「非電化冷蔵庫」から拝借して・・・
夏の倉庫。太陽光や高温の外気にさらされて屋根や外壁からは熱が侵入してきます。ほおって置けば内部は間違いなく30℃以上、あるいは40℃以上の高温となるでしょう。
そこでまずは熱の遮断です。建物の外周部(即ち屋根、外壁、ついでに床面も)を徹底的に断熱します。或る程度の気密性能も必要です。窓やドアなどの開口部もそれに見合う断熱・気密が得られるように工夫します。そして、北側の屋根には空に向かって窓を設けます(もちろん断熱窓)。
昼間、襲ってくる熱気に必死に耐えた倉庫の上にも、やがて夜のとばりが降りてきます。天窓を通して目の前に見えているのは絶対零度の巨大な宇宙空間。庫内の熱は、只々一方的に宇宙に吸い取られてゆきます。そんな夜が10日も続けばきっと20℃以下に冷えているはず・・・・・・・・
■「非電化低温倉庫」の応用分野
さて、もしこれが実現したらどんな分野に活かせるでしょう。貧弱な頭でイメージしてみると、
@農業倉庫など
野菜、果物、花卉、種苗などの低温倉庫
穀物備蓄倉庫など
A食品流通倉庫など
鮮魚、食肉や酪農保冷倉庫の補助冷却として
Bペンギンや白熊くんや暑がりの人の部屋(?)
その他、「冷やす」というより「温まることを防ぐ」ためにたくさんのエネルギーを使っているところにはきっと活かせるのではないでしょうか?どなたかアイデアを聞かせてください。
近々、小さな低温倉庫を試作してみるつもりです。乞うご期待!
|
|
|
|
|  |
|