エコビレッジ国際会議
TOKYO2006





2006.10.28sat-10.29sun TOKYO

10月28(土)・29(日)、エコビレッジ国際会議に参加した。日本で初めての国際会議である。
講演者として海外から4人のゲスト(マルチ・ミューラー、マックス・リンデガー、ルイス・アーキン、リズ・ウォーカー)が参加。それぞれ特徴的な取り組みを続ける人々である。それに日本で活動を続ける7組が加わり終始熱気あふれる会議となった。

エコビレッジのリーダーたちが500年先に目を向けていること、ピークオイル以降の「下降縮小型の新しい文明」という表現(糸長氏)が強く印象に残った。


エコビレッジ国際会議報告

■1日目の会場は東京ウィメンズプラザホール。テーマは「世界のエコビレッジ 奇跡と未来」。
講演のトップバッターは日本大学生物資源科学部教授でパーマカルチャーセンタージャパン代表の、糸長浩司さん。糸長さんからは「持続循環型社会構築のためのエコビレッジの意義と可能性」と題して、エコビレッッジの概要が紹介された。



■続いてグローバルエコビレッジネットワーク《GEN》評議委員で作家、写真家としても活動しているマルチ・ミューラーさんから、世界各国のエコビレッジの様子が紹介された。
ミューラーさんは現在フランスとインドのエコビレッジ、「オーロビル」に主に滞在しているが、イギリスの「フィンドフォーン」を始め、様々なスタイルで展開する世界各国のエコビレッジを訪問している。ソーラーキッチンやパーマカルチャーでデザインされた敷地、アーティスティックなデザインや、各団体が独自に行っている取り組みが、彼女ならではの美しい写真で紹介された。

■オーストラリアでパーマカルチャーエコビレッジ「クリスタルウォーターズ」を創設し、25年間に渡りその活動に従事してきたマックス・リンデガーさん。「クリスタルウォーターズ敷地のデザインでは道路幅なども、パーマカルチャーの理念に基づき、自然への付加を極力小さくするようにデザインされている。敷地内でカンガルーも生活しているほど自然は豊かで、人間と共生しているそうだ。


■ルイス・アーキンさんはロスアンゼルスに住みながら、車を持たずに生活している。住んでいる地域に喘息の子供たちが多いことを知ったことから、車を使わない町づくりに取り組み始め、ロスアンゼルスエコビレッジを創設したそうだ。都市での生活を見直しつつ、自然との共生を目指したその取り組みは、州政府からも認められ、2006年カリフォルニア州ウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞している。




■同じくアメリカ、N.Y.近郊のイサカにエコビレッジを創設したリズ・ウォーカーさんは1990年から環境問題や湾岸戦争反対の運動に関わってきた。仲間とともに立ち上げたイサカエコビレッジは、都市近郊にありながら、パーマカルチャーに基づいたデザインで、敷地には10エーカーの農地や約70エーカーの森林保護地区も含まれている。現在は2つの居住区があり、住民の自主的な活動でコミュニティ運営されており、パーマカルチャーの講座を開催するなど活発な活動が続けられている。現在も拡大の予定を持ち、今後の活動が注目を集めている。

■またエコロジーをテーマに情報を発信しているwebサイト、「greenz」でも紹介されている『Bio-City』編集長の杉田博樹さんからは、『Bio-City』の創刊時の様子や、今まで取りあげてきた事例などが紹介された。創刊時はパーマカルチャーを知る人も少なく、海外のエコビレッジに滞在した人から「日本にこんな雑誌があったのか」と驚かれることもあったとか。現在のパーマカルチャーの広まりを誇らしく感じているそうだ。


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2日目はbegood cafeのホームとも言える代官山ボールルームで開催。この日は日本での事例を中心に紹介された。

■まず、武蔵工業大学環境情報学部教授で建築家の岩村和夫さんから、ドイツと日本の事例が紹介された。日本では東京都世田谷区と屋久島に環境共生住宅を設計してきた岩村さん。古くなった集合住宅建て直したという世田谷の事例では、住人が一度住まいを離れてから建て直し後にまた元の地域に戻るという前提で、住宅の建つ地域の環境全体をデザインした。ゼロから作るのではなく、もともとあった資源を利用したいというプランから、以前からあった木々などを活かした建物の配置が設計された。そして居住者同士の交流が持てるよう、共有スペースも設けるよう配慮されている。

■「鶴川エコビレッジ」を運営する相根昭典さんからは、自然エネルギーの利用や屋上ガーデンなどを備えた、コーポラティブハウス(住宅を建築する際、住み手が集まって協同組合方式で建てる集合住宅)が紹介された。建設時の相談から運営まで、住民同士が話し合いながら進めていく建築形式はまだまだ少ないが、問題を話し合い、解決していく過程で、住民同士のつながりもでき、建築にも積極的に関わるようになったという。


■また、都内でコレクティブハウス(私生活の領域とは別に共用空間を設け、食事・育児などを住人同士で共有することを可能にした集合住宅)、「かんかん森」を運営する木村ひろ子さんからは、住人が週に3回夕食を共にし、掃除などもコミュニティの仕事として住民が参加してやっているという、「かんかん森」のライフスタイルが紹介された。仕事以外の時間を大切にし、有意義に過ごすことこそ「生活すること」。その時間を大切にしてほしいとメッセージを残された。

■その他、株式会社地球の芽より、滋賀県で取り組んでいる「小舟木エコ村」の計画が、begood cafeが企画に携わっているエコビレッジ「PICA山中湖」の報告が設計を担当している山田貴宏さんから報告され、日本で現在進行しているエコビレッジの姿も紹介され、海外からのゲストも日本での取り組みに関心を持った様子だった。休憩時間には出演者、観客の枠を超えた交流が会場のあちこちで見られ、情報、意見の交換をしながら親好を深める姿が会場のあちこちで見られた。

■この日は海外事例の紹介は一件。マルチ・ミューラーさんから、2000人の住人が暮らすインドのエコビレッジ「オーロビル」の紹介だ。この村を超えた巨大な共同体はインドの思想家でヨガ行者、そして革命的指導者でもあったオーロビントと”マザー”と呼ばれた一人のフランス人によってつくられた。現在は様々な国籍の人たちが住人として暮らし、1日に訪れるゲストの数は住人を上回るという。開拓者たちによって緑が復活した広大な敷地には、300万本の木が生い茂り、各国の文化を感じさせる建物や、想像力をかきたてるデザインの、アーティスティックな建物も多く含まれている。エネルギーには、11000枚もの反射板を使ったソーラーパネルによる発電や、風力エネルギー、バイオマスエネルギーなどが利用され、パーマカルチャーの農園もある。各地域の祭りや文化行事も行われ、人種や民族を超えた文化や教育が共有されているようだ。

■両日とも会議の最後には、糸長浩司さんの司会のもと、海外ゲスト4人と日本人講演者に、この会議の進行役、シキタ純を加えたディスカッションが行われた。パネリストは会場からの参加者からの質問に応えながら、様々な意見を交わしていったが、中でも「エコビレッジ」という言葉の定義、そして各自異なった取り組みの中で何を目的としているのかという話題には様々な意見が飛び出した。


■パーマカルチャーの理念に基づき広大な敷地をデザインしていったマックス・リンデガーさん、都市の中で集合住宅の形態をとりながら、住民のつながり、自然との共生を大切にコミュニティ作りを進めていったライフスタイルを改善していったルイス・アーキンさんとリズ・ウォーカーさん。創作活動を続けながら、多民族、多文化が集まるコミュニティーに暮らすマルチ・ミューラーさん。そして日本のエコビレッジや新しいライフスタイルを目指す人々。
目的の違いもあるだろうが、共通しているのは、住人同士のつながりや自然との調和を大切にし、理想の社会を実現しようと努力を続けてきたこと。そしてそれが形になったのが「エコビレッジ」と呼ばれているように感じられる。そして子供たちのためにすばらしい環境を作り、伝えていきたい、教育の場を持ちたいという言葉も多く聞かれた。そういった理想を持つ人たちが、手をつないでいくことで、社会は動いていくのではないか。そんな気持ちにさせてくれた2日間だった。(BeGood Cafe レポートより)