お話し/その20




お宝ウンチ


「僕のウンチは触れんと?」

か細く震える涙声の息子の目から大粒の涙がこぼれた。
瞬時に自分の過ちに気付いた。

弟の誕生後、毎日続くオムツ洗いの様子を不思議そうにのぞき込んでは「ウンチ汚くない?」「嫌じゃない?」と尋ねる息子。
私は「愛してるから平気よ。お宝ウンチよ。汚くなんかないよ」と答える。すると息子は「愛しとったら、ウンチって触れると?」と、感心するのである。

なのにある日、忙しさの中で心をなくしていたのか、遊びに夢中になり、ゆるいウンチを漏らした息子に「もうこのパンツは捨てとくよ」と、冷たく言い放ってしまったのだ。たった一言で、純粋な心を深く傷つけてしまったのである。
救いだったのは、息子がそのショックをすぐに言葉に出し、失言を気付かせてくれたことだ。

悲しみに打ちひしがれている息子を強く抱き締め、何度もわびた。その場ですぐに、素手で汚れた下着を洗ってみせると、お宝ウンチとともに、涙も洗い流されたのか、息子は笑顔を取り戻した。

その後、妹も生まれ、お宝ウンチのオムツ洗いは続いた。
お宝ウンチは無二の親子愛をはぐくんでくれた。 /西日本新聞読者投稿